グリッド型フェライト電波吸収体は従来より電波暗室に使用されているピラミッド型の電波吸収体から、如何に薄くしかもコンパクトに出来ないかと、元東京工業大学学長の内藤喜之博士を中心に研究を重ねた成果です。
従来の単層フェライト電波吸収体は20dBの吸収が得られる上限周波数が約400MHzであり、電波暗室に使用するにはピラミッド型の吸収体も同時に必要なため、吸収材の厚みは1m程度は必要でした。
それに対し、グリッド型電波吸収体は20dBの吸収が得られる上限周波数が約600MHzと非常に広帯域の電波吸収体であり、ピラミッド型吸収体を付加しなくとも性能が得られる上、僅か19mmという驚異的な薄さで電波暗室に使用出来る吸収体を開発しました。
グリッド型電波吸収体は施工上避けられないタイル間の隙間による問題に対しても単層フェライト電波吸収体に比べて特性劣化が著しく少ないという利点もあります。
また、グリッド型電波吸収体のベースとなった桟形電波吸収体についても高層ビル等によるテレビのゴースト対策に使用されており、ビルの壁面に埋め込んで施工する事により未対策の物が明らかなゴーストが発生するのに比べ、通常視聴上問題ないレベルに押さえ込む事が可能になります。
従来から使われている単層フェライト電波吸収体は、反射減衰量が20dB以上になる動作周波数を考えると、下限周波数を30MHzとすると上限周波数は約400MHzに限られてしまっていました。
これに対して、テレビ電波のゴースト対策に用いられる一偏波に対して有効に動作する棧形フェライト電波吸収体をまず初めに考案しました。
反射減衰量が20dB以上になる動作周波数が、30MHzから約2000MHzと単層フェライト電波吸収体に比べて格段の広帯域となっていることが示されました。
これを発展させて、垂直と水平の両偏波に対して吸収体として動作するために棧形フェライト電波吸収体を格子に組み合わせてみたところ、素晴らしい結果が得られたのです。
グリッド型電波吸収体は300*300mmのパネルが基準になっています。
鋼板に9枚のグリッドタイルが接着されており、このパネルをシールドパネルに直接ビス留めする事により早い工期で確実に固定することが出来ます。
既存電波暗室の床面にNAMAS-1を置く事でイミュニティ試験に求められる電界の均一性の向上に優れた効果を発揮します。
パネル形式である為、常時使用しない場合の敷設や撤去も比較的容易に行う事が出来ます。