EMCとは…

EMCとは Electro-Magnetic Compatibility の略語で電磁的両立性と訳されている。IEC(国際電気標準会議)の定義では「許容できないような電磁妨害波を、如何なるものに対しても与えず、かつ、その電磁環境において満足に機能するための機器・装置またはシステムの能力」となっている。
くだいて言えば、EMCは「各種の機器・システムが電磁的に仲良く共に生きる」という意味の略語と理解しても問題はない。
電波利用が拡大し、電子機器が普及するに従って、使用している機器・システムが他の機器・システムから電磁妨害を受けることが大きな問題となり、妨害波の発生側でこれを抑える《EMI対策》ばかりでなく、妨害を受ける側でも上記のような電磁環境において性能劣化を起こしにくくすること《イミュニティ向上》が必要となっている。このような両面を考えた機器・システム能力がEMCである。
EMCは機器・システムの能力という意味で用いるばかりではなく、その状態を指したり、さらに広義に解釈してEMCに関する分野を指すなど、この分野を代表する述語としても広く用いられている。

電気を使用する機器は、すべてこれらの動作時に周囲に電界や磁界を発生し、また、電磁波を放射する。同時に機器に接続されている電源線の電圧・電流に変動を与え、不要なサージ波を発生することがある。また、放送局や携帯電話などの無線機器からも当然、電磁波が放射されている。以上に挙げたのは人工的な発生源であるが、雷などの自然現象によっても強い電磁界や電磁波が発生する。さらに、乾燥した室内を歩く人間の帯電によって生じる静電気も、その放電時に電磁波を放射する。したがって、人間や機器の環境には常に電磁界が存在し、電磁波が飛び交っている。また、機器に接続されている電源線等の電圧・電流も他の機器の影響を受ける。このように環境を電磁的にみたものが電磁環境である。
どのような装置も、常にある電磁界の中に存在しているため、その電磁環境によって何らかの影響を受けており、最悪の場合は機器が誤動作したり、壊れることがある。このため、電磁環境をできるだけ汚さないようにすることがEMCとしては重要であり、機器の動作に伴って生じる電源線の電圧・電流変動や、機器から周囲に漏れる電磁界や電磁波を極力低減する必要がある。また、強い電磁環境に曝されている機器の誤動作を防ぐには、あらかじめ機器が置かれる電磁環境を把握し、これらの機器に十分な耐性を持たせること、すなわち《イミュニティ対策》を施す必要がある。